書くことの力
GIGAスクール構想が提言され、1人1台端末の普及により、iPadが児童たちの手にある時代ですが、学校がずっと大切にしてきた「書く」という力は知識の定着に欠かせない大切な学習です。
授業での板書や連絡黒板についても、学習と直結させるのであれば、黒板の字を正確に「書き写す」ことが大事になってきます。
何かを書こうと思えば、書くべきことを脳の海馬という記憶を司る部分から引っ張り出す必要があります。そして、引っ張り出した記憶を脳の前頭葉という部分で統合して文章を考える。そして、日本語の場合なら、漢字とひらがな、カタカナの使い分けを考える必要もある。漢字とひらがな、カタカナそれぞれを使うにあたって、じつは使う脳の部分が異なるのも大きなポイント。それだけ脳の広い範囲を使うことになるからです。
マスの中に納まるように書くことはもちろん、紙全体に大きく書こうか、太く書こうか、紙の端に小さくかわいらしく書こうかというように、絶えず考えながら状況に合わせて書く。もちろん、指を使うにも、キーボードを叩くより、手書きのほうが、より細かい作業が求められます。
つまり、手書きのほうが、脳をそれだけたくさん使うことになります。
余談ですが、これは大人になってもいえることです。
人間の脳は3歳くらいまでの間にできあがります。でも、3歳以降のほうが、人間は高度な脳の使い方をできます。それは、脳の中に高度な神経ネットワークができるからなのです。
だとしたら、そのネットワークを退化させないように使い続けることが重要になってきます。
時代は進んでも紙に書き写して学習をするという力はずっと継続していくと思います。
もし機会があればお子さんのノートを見てあげてください。どんなノートを作っているのか。漢字やカタカナの使い方は正しいかなど、ノートの内容で子どもたちの学校生活の様子が少し浮かんでくると思いますよ。